仏で『ナンバープレート無し、免許ナシで乗れる車』(Voiture sans permis )が流行っている。日本では。

 欧州では近年、コンパクト・カーが急増している。とは言っても、日本で見かけるスズキやダイハツの箱型軽自動車のことではない。色使いやデザインに遊び心満載のスマートカーやFIAT500などがその中心だが、ところが、最近、フランスを中心に、さらに小さく、ナンバープレートすらつけていない超小型車が地元の一般道を快走しはじめた。仏語で『免許ナシで乗れる車』(Voiture sans permis)と呼ばれるものだ。見かけはりっぱな自動車だが、分類上は原付二輪と同じ扱いなので、普通自動車運転免許ナシで乗ることができる。
 このクラスは、自動車製造・認可規格を定めたEU法によれば、『軽量原付四輪』(英語表記では、light motorised quardicycle)とされるもので、排気量50cc以下、最高速度45㎞以下なので高速道路は走ることができない。だから、フランスを車で旅行しても高速道路ばかり運転していれば全く見かけないかもしれない。しかし、ちょっと高級そうな郊外住宅地や、公共交通手段の乏しい地方の一般道を走ってみると、局所的に驚くほどこのカテゴリーの車に出遭うことがある。それもそのはず、マーケットリーダーは、フランス・サボア地方を本拠地とするAIXAM(エクザム)で、30年の実績を持ち、市場の半分を占める。これを追従するは元F1レーサー率いるLIGIER(リジエ)、更にChatenet( シャトネ)、JDM Automobiles, Heuliez(ウリエ)とフランス勢が続く。
 ターゲットの中心は、まだ普通免許の取れない高校生。学校に、スポーツに、デートに、遊びに……、その運転手役に疲れきった親たちが降参して買い与えてしまう。ナンバープレートの代わりにガールフレンドの名前を付け、カラフルな色使いが一際目立つのは若者向け仕様だ。しかし、原付四輪には、もうひとつ地味な需要がある。遠方へハイスピードで急ぐ必要のない高齢者や軽度障害者などだ。自宅と病院、薬局、商店など地元だけの交通手段として使うなら、車検も自動車税もないから経済的。二輪車や電動車椅子よりは悪天候でも快適で安全だ。実は長期的には後者の市場に期待がかかる。調査会社フロスト&サリバンの調査では、現在3万台程度の市場規模は、10年後には少なくとも10倍に伸びると予測されている。シルバーマークで自動車に乗るよりは、原付四輪の方がいいというシニアは日本でもけっこう見込めそうだが、既に三岡自動車やタケオカ自動車工芸などが50CCクラスのもので実用性と言うよりレジャー感覚で原付バイク免許で乗れて、街中では一人乗り用の車両を作っているが、トヨタ、ホンダもこのエンジンで言えば125CCクラスの車に参入し始めた。しかし、日本の法律ではまだ、プレートナンバー無し、運転免許証無しには至っていない。フランスでも衝突事故時の試験に受からない車両を道に出して良いのかと言う論議は根強い。

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