フィリピンの銀行業の行方
フィリピンには約50の都市銀行、商業銀行があり、約60の貯蓄銀行、約100の地方銀行 信用金庫が存在する。都市銀行は信託も扱えるので信託銀行は無い。
Saving Bank 貯蓄銀行? 日本人には聞きなれない名前だ。考え方から行けば昔の郵貯と同じだが、個人の貯蓄を引き受けることを主目的とする金融機関である。元来は19世紀に欧米諸国に広まった、庶民に対して倹約を奨励し貯蓄により生活を安定させるための公益的な金融機関であった。社会意識を持った個人により設立される場合と、公的な取り組みで設立される場合とがあるが、多分フィリピンはスペインの貯蓄金庫 (Caja de ahorros) と呼ばれる貯蓄銀行に影響されたと考えられる、スペインでは商業銀行と比肩する規模に発展している。これは地方政府(自治州政府、県議会など)の代表者などが運営する非営利の財団であり、利益は地域社会の各種プロジェクト(講演、展覧会などの文化活動、奨学金の給付、文化財保護活動等)などへの還元が義務付けられている。また、より協同組合的性格なものとして、カハ・ルラル (Caja Rural)というものもある。
多分ここから発祥しているが、フィリピンでは都市銀行が子会社化している場合が多く、例えばBPIはBPI saving Bank, Metro Bank はPS Saving Bankを持っていて主に担保に取った不動産や車両の管理会社として使っている場合が多い。
しかしフィリピの銀行の世界も乱高下が激しい。例えばRCBC等は昔4位にランクしていたが、今は10位で、トップ10の座も今や風前の灯。逆に 2000年には一信用組合だったが、ニューヨークの金融の援助でプレミア銀行になり、しかし、その親はリーマンショックで衰退、それを買って今のセキュリイー銀行に育て上げ、三菱UFJの援助の元にトップ5にのし上がった銀行もある。メトロ銀行は前は第一位の銀行だったが、3つの銀行が合併したBDOがトップに躍り上がったが、メトロ銀行はトヨタが支えているので安泰である。
まだ発表されていないが噂では、INSULAR BANK あのインシュラー保険の系列銀行が バンクof コマース現状17位の銀行が買収されたようだ、バンクof コマースとUCPBユナイテッドココナツプランターズ銀行は30年前のアキノ大統領とは親戚で有りながら政敵であったコフアンコ氏の持ち物で有ったが、息子の代ではUCPBは政府が吸収し、バンクof コマースは全国展開をしているSTIコンピュータ学院のタンコ氏が管理していたが、キリン(三菱グループ)がサンミゲールを買収の際、サンミゲール社長のラモン氏が買収した。言わば三菱グループ。トップ10銀行でBDOが3つの銀行と合併した際に本来加わるはずのチャイナバンク現在7位。とRCBCは華僑としては派が違うが、三井住友が一緒になるのだから、多分外圧が強まればまた合併して1位の座を守るかもしれない。面白い。華僑対トヨタ、三菱の構図が見えてくる。
しかし、タイ、インドネシアは自動車産業を取り込み、輸出を伸ばしている。フィリピンはここ10年で40%の輸出減。輸入品で消費を煽っているが、消費は過去20年給与は上がっていないので消費は伸び悩み。それを中国同様の投資でGDPを作っているが、中国同様にここらで息切れ。輸出や消費をあげるのには10年かかる。金融バブルの崩壊はそこに来ている。華僑系の崩壊がそこに来ているのかも知れない。
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2018.07.18 07:15